中編/三枚 1/3







 バグを修正してくれよ。


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 注意!
 以降の内容には、多少に関わらずグロテスクな表現が含まれます。
 そういった描写を苦手とされる方は、お避けになることをお勧めします。



 先に、進みますか?

→Yes
  No


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 ―――Side :A


 人生って、ゲームみたいなものだと思う。勝つか、負けるか。喰うか、喰われるか。……なんて、そんなありふれた言葉が僕にはひどく心地良い。
 掛け金は生命(ライフ)、得るものは現実感(ライブ)か精力(ドライブ)か。とびっきりのギャンブルみたいな引力に惹き付けられて、ほら今日も。
 僕は、ギリギリの世界を楽しむ。


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 Start
→Lord


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 ずるずると人間を引き摺る音が耳につく。
 僕は嫌になって耳を塞いだ。
 途端に漆黒の濃さを増す景色。何の音も響かない空間では、闇が際立つものだ。
 あ。
 なんだ、月が隠れただけか。いつもより低く、まんまるな月が。
 暫く口を開けて、ぼけっと夜空を眺めていた。
 そう言えば音は聞こえなくなったけど、両手を耳当てに使っていたら今度は引き摺る作業が続行できないな。てか、引き摺らなければ耳当ても要らないんだっけ。
 当たり前のことに今更気付く。
 あー。でも、なんかもう面倒臭い。まぁ、いっか。此処で、いっか。飽きちゃったし。
 僕は公園のど真ん中に人間を下ろして――大部分は元から地面に付いていたのだから、下ろす、という表現は少し違う気もする――地面に座り込んだ。ひどく疲れていたのだ。
 大体、成人男性を選んだのが間違いだった。オマケにこいつ、太ってるんだもん。運べるかっつの。運べねぇよ。もっと小柄な女の子とかにしとけば良かったな。あーあ。
 僕は学生服の胸ポケットから折り畳み式の小型ナイフを取り出して、片手でパチンと開いた。
 パチン。うん、こっちの音の方がよっぽどいい。ずるずる、なんてのよりさ。
 あは。あはは。


↓ Warning! ↓



 もう、とっくに動いていない心臓に、ナイフを突き立てて。抜けなくなったもんだから、ぐちゃぐちゃと掻き回して漸く解放した。ピンク色の肉片が月灯りに散って、ちょっとだけ綺麗だ。
 血液の流出は、既に緩やかになっている。とろとろ、と半ば惰性のように流れ続ける液体。次第に濃厚になってゆく七月の蒸し暑い大気。
 甘いような、苦いような。錆びた鉄の匂いは、ひどく僕を酔わせるんだ……。



↑ Warning! ↑



 じゃり。背後で何かが砂を踏んだ。
 べしゃ。背後で何かが血に足を突っ込んだ。
 僕は振り返る。どろどろのシャツが、ひどくうざったくて嫌になる。

「派手にヤったね、こりゃ……」

 何かが言った。
 どうやら目撃られたらしい。僕の趣味を。僕の実験(シミュ)を。
 僕は思考回路を学校モードに切り替えた。さて、どうしよう。しかし、三日間睡眠を摂っていない頭は重たくて仕様がない。仕様がない。

 僕はナイフを翳した。


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Now lording......


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